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東南アジアとサンスクリット語・「アンコールワット」の由来


 

 

前回に、「タイ人を驚かせる魔法の言葉」として、「クルンテープ・マハーナコーン」について書きました。

 

 今回は、さらに一歩進んでこのタイ語の「ナコーン」という言葉について書いていきます。

 「ナコーン」なんて言葉は初めて聞いた!
 という人も多いと思いますが、実は大抵の日本人はこのナコーンを知っています。

 

 特に、カンボジアに興味がある人や実際に行ったことがある人は、このことを知っているはずです。
知っているけど、それが「ナコーン」だとは気づいていないだけです。

 

では、そのナコ―ンについて、書いていきますね。
 この「ナコーン」という言葉も、「NAGARA(ナガラ)」というサンスクリット語を語源としています。
 覚えてますか?サンスクリット語。
こんな言語でしたね。

 

「インド=ヨーロッパ語族に属するインドの言語。梵語(ぼんご)とも呼ばれ、古代インドでは共通語として活用された。現在もインドの公用語の一つになっている(世界史用語集)」

 

 タイ語の「ナコーン」は、「都市」・「街」といった意味があります。
 サンスクリット語は、インドや東南アジアに広く伝わっています。
ですから、それらの国の都市名に、この「NAGARA」を由来とする言葉がついていることも多くあります。

 

 例えば、インドでは、「ナガル」という言葉になっていて、カシミール州には、「スリナガル」という都市があります。
 また、ガンディーが生まれたグジャラート州には、その名にちなんで名づけられた

「ガンディーナガル」という都市があります。
意味は、そのまま、「ガンディーの町」です。

 

 「NAGARA」は東南アジアに伝来して、タイ語の「ナコーン」になったことは先ほど書きました。
 この言葉は、マレーシアでは、「NEGARA(ネガラ)」というマレー語になっています。

 

 写真のマスジッドは、「イスラム礼拝所」のことで、「NEGARA」は「国、国立」という意味です。
 つまり、「MASJID NERGARA」とは、「国立のイスラム礼拝所」という意味になります。

 

ちなみに、「マスジッド」と「モスク」は同じく、イスラム教徒の礼拝所のことをさします。
マスジッドはアラビア語で、モスクは英語ということだけです。

 

ほとんどのムスリム(イスラム教徒)は、どちらの言葉を使っても気にしないと思いますがう、イスラム教徒と話すときは、「マスジッド」を使った方がいいかな、と思います。

 

 

 ただ、不思議なことに、マレーシアやタイに伝わったこの「NAGARA」という言葉が、どういうわけかカンボジアには、伝わらりませんでした。
 ということは、ありません。

 安心してください、来てますよ。

 

 このサンスクリッド語の「NAGARA」が、カンボジアでは、「アンコール」というカンボジア語になっているのです。
 日本人が大好きな世界遺産「アンコール・ワット」の「アンコール」です。

 

 カンボジアに興味がある人なら、カンボジアにアンコールワットがあることは、知っているはずです。

 

 このカンボジア語の「アンコール」は、タイ語の「ナコーン」と同じで、サンスクリット語の「NAGARA」を語源としています。
 つまり、これらはまったく同じ言葉です。

 

ただ、タイ語発音だと「ナコーン」になって、カンボジア語発音だと「アンコール」になるということです。
 だから、「アンコール・ワット」をタイ語で発音すると、「ナコーン・ワット」になります。

 

 まあ、普通の日本人が、このタイ語発音の「ナコーン・ワット」を使うことはないと、まず思います。
けれど、もし、何かの機会で使うなら、少し注意が必要となります。

 

 これをカンボジア人の前で言ってはいけません。
 カンボジア人には、タイ人をあまり良く思っていない人が多くいます。

 

 2003年には、「タイ大使館焼き討ち事件」という事件が首都プノンペンで起きてました。
 これは、タイ人の女優のある発言がきっかけとなったとされるものです。

 

「タイのものだったアンコールワットを奪ったカンボジア人は嫌い。アンコールワットはタイに返すべき!」

 といったことを、タイのテレビ番組で発言したと、カンボジアの新聞が報道しました。
 そして、次のような事態にまで発展した。

 

「1月29日、プノンペンにて、発言に怒った市民約3000人がタイ大使館を包囲し、タイ国旗を焼くなど、暴動が勃発した。一部は館内に侵入し放火などの行為を行ったため騒がれた。

また、この暴動においてタイ人が慕っているプミポン国王の肖像が踏みつけられている写真が流出したこともあり、今度はタイ側で抗議が発生。

 バンコクのカンボジア大使館に500人近いタイ人が集まり、カンボジア国旗を燃やすなどしたが、プミポン国王が「悪党の行動に反応してはならない」と発言したことで、沈静化した。

 1月30日には大使館周辺の騒動は収まり始めたが、タイ王国のタクシン・チナワット首相の「1時間以内に事態を収束しなければ、自国民救助のため、特殊部隊を派遣する」との発言への反発から、再び暴動が勃発した。

タイ系ホテル、商店、企業、工場など市内15か所が投石や放火などで大ダメージを受けた。この一連の暴動で、タイ人1名が死亡、約10名が負傷した。被害総額は約30億円となった(ウィキペディア)」

 

 実際のところ、多くのカンボジア人は、タイを良く思っていません。
国境紛争で、タイとカンボジアの軍が衝突して、死傷者を出したこともあります。

 

カンボジア人には、タイに反タイする人もいます。
失礼しました。

 

 カンボジア人からは、こんなことを聞いたことがあります。

 「タイでは、アンコールワットはタイのものだ、って学校で教えられているんですよ」

 「バンコクのワットプラケオにあるアンコールワットの模型は、『あれは、タイのもの』ということを表しているんですよ」

 

 どこまで本当か分からないという「都市伝説」のようなものかもしれませんが、これを信じているカンボジア人は、けっこういると思います。  

 

そんなカンボジア人が誇りとするアンコールワットを、タイ語で発音して喜ぶカンボジア人はいないでしょうね。
 日本と韓国もそうだけど、「お隣さんの国」には、いろいろ複雑な事情があるようです。

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